「山のあなたの空遠く
「幸」住むと人のいう
噫、われひとと尋めゆきて
涙さしぐみかえりきぬ
山のあなたになお遠く
「幸」住むと人のいう …」
カール・ブッセの詩は格調高いが、
こちとら、演芸好きだ、べらぼーめ!
気が短けーんだ。
ここまでしか知らないやい。
…いやいや、無理やり江戸弁?使っても格好わるい。
所詮は権助、田舎もん。
てなわけで、三遊亭歌奴(現圓歌)師匠の「授業中」
今、「山のアナアナ」と言って
何人が「そうそう」と言うか、
わっかるかな~、わっかんねえだろうな~。
いや、これもわかんないだろう。
とかく流行語は足が速い。
本当は、ただ「山のアナアナ…」といくわけじゃない。
上述のカールブッセの詩の朗読を当てられたドモリの中沢少年。
クラスメートの
「いいか?中沢、先生のお許しが出た。しみじみどもれ。」
の言葉で、
「や、や、、やまー、やまー、やまー、山のアナー、アナーや、山のアナーアナー、アナ、あなた、あなた?もう寝ましょう」
とやるわけだ。
どうして「もう寝ましょう」はどもんないんだ?と教師(これがまた物凄い訛り)に突っ込まれる。(「突っ込み」ってのは漫才の用語だけどね)
次に指名されるのが「3番、広沢虎三」
こちらは朗々とうなる。
「山のあ~な~た~の~、そ~ら~遠く(ハイ)。さいわい住むと人の言う、
ああ、われひととと~めゆきて(ハア)
山のあ~な~た~の~~おおおお、そ~ら~とおくぅ~」
と次郎長伝もかくやの名調子、ヨオ!
おっとノリ過ぎか。
これと「しんお~くぼ~(新大久保)!」のフレーズで
歌奴サン、お茶の間の人気者になった。
本人、今は高座でも
「いまさら『山のアナ』じゃねーだろ!飽きちゃったよ!」と笑わせる。
でも、また聞きたいなあ。
もう、誰もやれないもの。