「そば清」という噺があって…、と申しましても、
このブログを覗くような酔狂なお方は、
だいたい筋をご存知なんじゃないか?と思い細かい説明なしに進めちゃいます。
アタシが聞いたのは名人古今亭志ん生とその長男の金原亭馬生の両師匠。
何でも賭け事の対象にしていた昔の江戸っ子、
酒賭け、醤油賭け、そして蕎麦賭け。
暇だったんですかねェ。
オイラ、酒はたしなみ、醤油は命賭けてまで飲みたくない。
やっぱ、蕎麦かな?
噺のマクラに曰く、
「蕎麦っ食いは身の丈だけ食べる」
これは別に蕎麦を箸でもってず~っと伸ばして170cmなんて競ってるわけじゃない。
アグラをかいて、重ねた蒸篭(せいろ)の高さが身の丈ほどと言うのが正解らしい。
当時の蒸篭は小さかったらしい。それでも身の丈なんて大変な高さ。
この人は蕎麦ッ喰いだってわかると、
「あんたいい食べっぷりだけど、いつも何杯やります?」
「いや~、せいぜい10かそこらで…」
「じゃあ、20で賭けましょう。オイ、賭けだよ!」
てなわけで、ハイヨと蕎麦屋も心得てる。
次から次からまるで
ワンコソバみたいに出てくる蒸篭に乗った蕎麦をズルズルツーッと20枚。
「今日は体の調子が良かったようですねえ。じゃ、どーも」と帰っちゃう。
この「ドーモ」が(金原亭)馬生師匠は絶妙、妙なおかしみだった。
負けて悔しい常連さん、次は30だって賭けをやったら
またズルズルチュー、「どーも」っておいやられちゃったよ、参ったねどうも。
見てて笑ってる人がいる。聞いてみればアノ人。
ソバ賭けを生業にしている清兵衛さん、通称そば清と言っていつも40杯食べる。
なんだい、オイ、というわけで金を取られた常連の怒るまい事か。
今なら、言って見れば、ギャル曽根やジャイアント白田が素人を語ったようなもの。
松坂大輔がスピードガンコンテストに出たようなもの。
どちらも変な例えか…
「どーも」
「おいおい、あんた「そば清」って40杯も蕎麦食べるそうじゃないか?それを20・30で賭けをして…よく取れたね。今度は50杯で5両だ。どうだい?」
清さん、考えた。40から45は自信がない。
「脇で一勝負してまいりました。また改めて、ど-も」
そして信州に旅に出た清さん、旅先でウワバミが猟師を丸呑みにする場面を見る。
そのウワバミ、大の男を丸呑みにして倍ほども膨らんだお腹だったのが、そばに生えている赤い草をペロ、ペロと舐め始めると、膨らんでいた腹がスーッと元どおりにへこんじまった。
これはいいぞ、ウワバミの腹薬だ。これさえあれば…って戻って来ると「どーも」
おい、清さんが帰って来たよ「50で5両かい?」「60で10両ってのはどうでしょう?」「へっ、10両?」
60杯で10両が掛かった大勝負。
清さん50までは順調。残り3枚で、箸が止まった。
ここで、次の間で風に当たらせてくれと清さんのお願い。
みんなで引き摺ってもらい、障子を閉めて一人になった清さん、
ここでかねて用意の「ウワバミの腹薬」を取り出してペロペロ、ペロペロ…
「ははあ、何か舐めてるね。腹薬だよ、よしなよ。もうあんなになっちゃ何を飲んだって効きゃしないよ。清さん、悪あがきはやめなさいよ...清さん...清さん? あれ? 」
みんなで、障子を開けて次の間に入ると、
そこには羽織を着た蕎麦が座ってた…。
ここで、アタシが聞いたテープの志ん生さんは説明をつけている。「これは、「人間を消化する」ための薬草だったのです。清さんはこれをしゃぶると腹の中の蕎麦が消化されて無くなると思っていたのですが、実は蕎麦はそのままで、人間である清さんだけが溶けてしまったんです」とやってた。
これとは別に、アタシが昔テレビで見た馬生師匠は「蕎麦が羽織を着てる」とだけ言ってニヤッと笑って下りてしまいました。この噺、元は関西の「蛇含草」と言う噺、オチは正直なところ志ん生より馬生が好きだなあ。
このブログを覗くような酔狂なお方は、
だいたい筋をご存知なんじゃないか?と思い細かい説明なしに進めちゃいます。
アタシが聞いたのは名人古今亭志ん生とその長男の金原亭馬生の両師匠。
何でも賭け事の対象にしていた昔の江戸っ子、
酒賭け、醤油賭け、そして蕎麦賭け。
暇だったんですかねェ。
オイラ、酒はたしなみ、醤油は命賭けてまで飲みたくない。
やっぱ、蕎麦かな?
噺のマクラに曰く、
「蕎麦っ食いは身の丈だけ食べる」
これは別に蕎麦を箸でもってず~っと伸ばして170cmなんて競ってるわけじゃない。
アグラをかいて、重ねた蒸篭(せいろ)の高さが身の丈ほどと言うのが正解らしい。
当時の蒸篭は小さかったらしい。それでも身の丈なんて大変な高さ。
この人は蕎麦ッ喰いだってわかると、
「あんたいい食べっぷりだけど、いつも何杯やります?」
「いや~、せいぜい10かそこらで…」
「じゃあ、20で賭けましょう。オイ、賭けだよ!」
てなわけで、ハイヨと蕎麦屋も心得てる。
次から次からまるで
ワンコソバみたいに出てくる蒸篭に乗った蕎麦をズルズルツーッと20枚。
「今日は体の調子が良かったようですねえ。じゃ、どーも」と帰っちゃう。
この「ドーモ」が(金原亭)馬生師匠は絶妙、妙なおかしみだった。
負けて悔しい常連さん、次は30だって賭けをやったら
またズルズルチュー、「どーも」っておいやられちゃったよ、参ったねどうも。
見てて笑ってる人がいる。聞いてみればアノ人。
ソバ賭けを生業にしている清兵衛さん、通称そば清と言っていつも40杯食べる。
なんだい、オイ、というわけで金を取られた常連の怒るまい事か。
今なら、言って見れば、ギャル曽根やジャイアント白田が素人を語ったようなもの。
松坂大輔がスピードガンコンテストに出たようなもの。
どちらも変な例えか…
「どーも」
「おいおい、あんた「そば清」って40杯も蕎麦食べるそうじゃないか?それを20・30で賭けをして…よく取れたね。今度は50杯で5両だ。どうだい?」
清さん、考えた。40から45は自信がない。
「脇で一勝負してまいりました。また改めて、ど-も」
そして信州に旅に出た清さん、旅先でウワバミが猟師を丸呑みにする場面を見る。
そのウワバミ、大の男を丸呑みにして倍ほども膨らんだお腹だったのが、そばに生えている赤い草をペロ、ペロと舐め始めると、膨らんでいた腹がスーッと元どおりにへこんじまった。
これはいいぞ、ウワバミの腹薬だ。これさえあれば…って戻って来ると「どーも」
おい、清さんが帰って来たよ「50で5両かい?」「60で10両ってのはどうでしょう?」「へっ、10両?」
60杯で10両が掛かった大勝負。
清さん50までは順調。残り3枚で、箸が止まった。
ここで、次の間で風に当たらせてくれと清さんのお願い。
みんなで引き摺ってもらい、障子を閉めて一人になった清さん、
ここでかねて用意の「ウワバミの腹薬」を取り出してペロペロ、ペロペロ…
「ははあ、何か舐めてるね。腹薬だよ、よしなよ。もうあんなになっちゃ何を飲んだって効きゃしないよ。清さん、悪あがきはやめなさいよ...清さん...清さん? あれ? 」
みんなで、障子を開けて次の間に入ると、
そこには羽織を着た蕎麦が座ってた…。
ここで、アタシが聞いたテープの志ん生さんは説明をつけている。「これは、「人間を消化する」ための薬草だったのです。清さんはこれをしゃぶると腹の中の蕎麦が消化されて無くなると思っていたのですが、実は蕎麦はそのままで、人間である清さんだけが溶けてしまったんです」とやってた。
これとは別に、アタシが昔テレビで見た馬生師匠は「蕎麦が羽織を着てる」とだけ言ってニヤッと笑って下りてしまいました。この噺、元は関西の「蛇含草」と言う噺、オチは正直なところ志ん生より馬生が好きだなあ。
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