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2024/03/19 19:26 |
えー、私は春風亭柳昇と申しまして…
「わたくしは、春風亭柳昇と申しまして、大きな事を言うようですが、今や春風亭柳昇と言えば、我が国では…(少々間をおいて)、わたし一人でございます…」

必ず、このマクラで噺を始めた柳昇師匠。
「わが国では…」と「…わたしひとりでございます」の間の時間が
今から思えば絶妙だったよね。

亡くなってから6年過ぎたんですよね。
アタシは、「里帰り」と「カラオケ病院」が好きだった。

特に「里帰り」で、嫁ぎ先の姑と上手く行かなくて帰ってきた娘に、父親が諭すように語る場面では何かいみじみしてしまうのは、柳昇師匠の人間がそうさせたのでしょう。

この噺は、実家に帰って意地悪な姑の悪口を言う娘に、父親が粉薬を手渡す。
 これは毒薬だ。これをばれない様に少しずつ食事に入れておけば、そのうちに姑さんは死んでしまうだろう。ただし、それが先にばれたら大変だから、日頃は何でもいう事を聞いて(姑に)優しくするようにと助言したわけです。

それから時間がたって、今度はすっかり明るくなって里帰りした娘に父親が尋ねます。「あの薬(毒薬)はどうした?」
すると娘は言うんです。

父親の言うとおり、(殺意が)ばれないように極力姑のいう事は何でも聞いて仕えていたら、そのうちに姑が自分に対して優しくなった。今では本当の親子のように仲良くなったので、この薬は要らないから返したい。

父親はニッコリ笑って、「これは、実は毒でも何でもない、ただの粉なんだ。」

演じ方によってはクドクも嫌味にもなる内容を、すっと自然に語る柳昇さん。
その一方で、古典落語もできるのに、生涯にわたり新作落語にこだわり続けた一徹の人。
戦争で、手の指をなくしたため古典ではなく新作に絞ったという話もあります。

「わたしは昔兵隊だったから、最近人殺してなくてウズウズしてるんだ」なんてテレビじゃ言えないようなクスグリを言うところもありました。
寄席でこれを聞いてびっくりしたっけ…。

最後には「いるだけで面白い人」という境地にまで至った師匠。
同じ噺を何回聞いてもゲラゲラ笑える柳昇落語。
(まだまだ昇太や白鳥では笑えない)

いや、寄席だけじゃなくて、世の中に「春風亭柳昇」は必要なんだよね。
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2009/08/10 00:04 | Comments(0) | TrackBack() | 落語

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